薬剤師に必要な職業倫理と薬剤師法の概要について

薬剤師には他の医療人と同様にその品格と法規範の遵守が必要です。
よって、麻薬の中毒者やおくすりに関わる犯罪を犯した人、不正行為があった人は薬剤師になれません。また、薬剤師になったあとでも麻薬中毒となった人やおくすりに関わる犯罪を犯した人、不正行為があった人は資格を取り消されます。
調剤は原則として薬剤師だけが行える業務です。従って調剤に関わる多くの法律は薬剤師法に定められています。

薬剤師の任務 (薬剤師法第1条)

薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。

  • 薬剤師でない人は調剤してはいけません(病院・診療所の場合に例外があります)(薬剤師法第19条)。
  • 薬剤師は医師、歯科医師又は獣医師が書いた処方せんに基づいて調剤しなければなりません(薬剤師法第23条)。
    また、その処方せんの中に不明確な点があれば、それを医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせなければなりません(薬剤師法第24条)。
    処方せんを書いた医師、歯科医師又は獣医師は、薬局の薬剤師からその処方せんに関わる質問を受けたときには、適切に回答しなければなりません(保険医療機関及び保険医療養担当規則)。
  • 薬剤師は調剤した医薬品の使い方等について、医薬品の容器や袋に記載しなければなりません(薬剤師法第25条)。
  • 薬剤師は調剤した医薬品に関して患者さんまたはその家族にきちんと説明し、また必要な薬学的知見に基づいた指導を行わなければなりません(薬剤師法第25条の2)。
  • 調剤した処方せんや、調剤に関する事項についてのさまざまな記録を保管しなければなりません(薬剤師法第27条、第28条)。

薬剤師の守秘義務(刑法第134条第1項)

薬剤師又はその職にあった者は、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

法律の真の目的

おくすりに関わる法律の目的は、おくすりを正しく供給することなどによって、人々の健康な生活を確保することです。そのために、おくすりの調剤や販売に関わるすべての過程において、薬剤師は重い責任を課せられています。