医薬品管理センター

海外旅行とクスリ

飛行機 日本経済の発展により海外旅行も気軽に行ける時代になり、2000年度に海外渡航者数は1,781万人と史上最高を記録しました。海外で日本人が巻き込まれる事故、事件も多くなっています。また、海外では日本と違う環境からのストレスや過密なスケジュールから来る疲労により思いがけない病気にかかる可能性もあります。ここでは、海外へ旅行に行くときに携帯したい医薬品などについてご紹介します。

海外旅行で想定される心配事

  1. 世界地図海外旅行で罹る病気の半数は下痢です。生もの・生水を避け、水分はミネラルウォーターや炭酸飲料を飲んで補給 することで防ぐことができます。
  2. 慣れない環境や過密なスケジュールから来る疲労や頭痛や発熱、そして時差ボケによる体調の変化も心配です。
  3. 衛生状態の良くない国では虫に刺されることもよくあります。
  4. 現地ではバスや船などでの長時間移動となります。また、履きなれない靴で出かけると靴づれを起こす可能性があ ります。
  5. 熱帯地方での海水浴などでは強い日差しで日焼けが重症化します。
  6. 海外で感染症に罹ることよりも、けがや事故に遭うことのほうが確率としてはるかに高いです。

携行したい一般用医薬品等

 
治療の目的 携行したい薬剤名
1.下痢・胃痛の治療 整腸剤・下痢止めやブスコパン(便秘がちの方は便秘薬)
2. 痛み・発熱の治療 解熱鎮痛剤
3. 虫刺されの治療 抗ヒスタミン軟膏、予防に昆虫忌避剤
4. 乗り物酔いの予防 酔い止め薬
5. 軽いケガの治療 抗生物質軟膏
6. 時差ボケの解消 弱い睡眠薬(向精神薬でないもの)
7. その他 日焼け止めローション、絆創膏・バンドエイド
* これらとともに“はさみ”を小さな箱に入れておくと安心です

慢性疾患等で普段から医師の処方薬を服用している方

普段服用している医師の処方薬を海外へ持参することは当然可能です。ただし、精神安定剤や睡眠導入剤を多量に持参していると思わぬトラブルに巻き込まれかねません。長期出張などで持参する薬剤が多量になる場合は、医師に処方薬の内容を記載した証明書を発行してもらたっり、処方せんのコピーを持参しましょう。
 

病気になっても慌てないために

外務省ホームページの海外安全サイトから旅行先の日本大使館・領事館のなどの電話番号を手帳にメモし必ず携行しましょう。また、同ホームページの海外渡航関連情報サイトの「世界の医療事情」から旅行先の日本人医療相談室の電話番号も入手しておきましょう。
なお、同ページには旅行先の衛生・医療事情一般、かかりやすい病気、健康上心がける事、病気になった場合(病院等)が説明されていますので、印刷して旅行に持参することをお奨めします。

予防接種は必要?

  • 入国時などに予防接種を要求される場合(主にアフリカの熱帯地域や南アメリカの熱帯地域における黄熱ワクチンの国際予防接種証明書が必要です)と自ら病気から身を守るための二通りがあります。詳しくは、成田空港検疫所ホームページから「海外渡航者のための感染症情報」サイトをご覧ください。
  • 熱帯・亜熱帯地方で心配なのはマラリアで、予防のためにはマラリア予防薬の事前服用が必要です。しかし、日本では販売されていません。

麻薬・覚せい剤など

    国名 最高刑
    日本 無期懲役
    香港 終身刑
    中国 死刑
    台湾 死刑
    マレーシア 死刑
    シンガポール 死刑
    フィリピン 死刑
    アメリカ 終身刑
    イギリス 無期懲役
    韓国 死刑又は終身刑
    (成田税関ホームページより引用)
  • 麻薬・大麻(マリファナ)及び覚せい剤を日本から持ち出すことも、海外から日本に持ち込むこともできません(訪問国並びに日本国の許可を得ている場合を除く)。
  • 海外でも麻薬等の不正所持は重罪事犯となっています。1988年、ウイーンで「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」が採択されました。世界中で薬物乱用が深刻化している現在、海外でも麻薬・大麻及び覚せい剤の不正所持について右記のとおり厳罰が科せられます。
  • 海外旅行では開放的気分になりがちです。旅行者のこうした心理に付け込み不正薬物使用への誘惑もあります。下記に海外で呼ばれている麻薬・覚せい剤の俗称を示しますので、誘惑に負けない毅然とした意識のもと行動することが大切です。
薬物名 主な俗称
ヘロイン スマック、ジャンク、ホース、ダスト、メキシカンブラウン、チャイナホワイト
コカイン コーク、スノウ、ノージキャンディ、トゥート、クラック、スターダスト、フレイク、ホワイトレディ、ブロウ、コーラ、ボリビアンロック、マザーオブパール
覚せい剤 アイス、アッパー、ペップピル、クランク、デキシー、ハーツ、ホワイト、メス、ブラックビューティ、スピード、クリスタル
大麻 グラス、ポット、ジョイント、ウィード、タイスティック、コロンビアン、アカプルコゴールド、エース、バング、ガンジャ、リーファー、ハッシュ、レバノンブロンド、ネパールズフィンガー、ブラックアフガン
幻覚剤 アシッド、エンジェルダスト、エクスタシー、ラブドラック、ロケットフュエル
(成田税関ホームページから引用)


その他、日本に持ち込めない医薬品など
  • 睡眠薬や精神安定剤などの向精神薬に該当する薬剤(医師の指示がある場合を除く)並び にワシントン条約(絶滅のおそれがある野生動植物の種の国際取引に関する条約)で規制されているジャコウジカ、クマ等を原料とした成分を含有する漢方薬を日本に持ち込むことはできません。
  • 商品名ヴィックスインヘラー(鼻の薬)は、日本では覚せい剤原料として指定されている成分が含まれているので、日本に持ち込むことができません。

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